サブスペシャルティ研修

奈良県立医科大学高度救命救急センターでは、救急医療を基盤としながら、将来の専門性を見据えたサブスペシャルティ研修を行っています。

日々の救急診療に携わりながら、自身の関心や志向に応じて、より専門的な分野への理解を深めることができる研修です。

実際にサブスペシャルティ研修を経験した研修医の声を通して、研修の雰囲気や学びについてご紹介します。

サブスペシャルティ研修とは

サブスペシャルティ研修は、高度救命救急センターでの診療を軸に、専門分野への理解を深めることを目的とした研修です。

特定の進路を前提とするものではなく、救急医療を学ぶ中で、自身の将来像を考えるための機会として位置付けています。

サブスペシャルティ研修を通じて、次のような学びや経験が得られます。

初療からその後の治療までを一連の流れとして捉えられる

目の前の対応だけでなく、その先の治療や判断を意識した診療につながります。

症例を通して、知識と実践を結びつけられる

実際の症例を振り返りながら学ぶことで、理解を深めることができます。

多職種連携の中でチーム医療を実践的に学べる

医師・看護師・救急救命士などと連携しながら診療にあたります。

将来の進路を考えるためのヒントが得られる

進路が明確でない段階でも、関心分野を見つけるきっかけになります。

研修中の医師から皆さんへ

3年間の救急専攻医プログラムの中で、心肺蘇生・ショック対応・集中治療・急変対応・トリアージ・病院前診療など様々な経験を積むことができましたが、その中で私が最も興味をもったのが外傷診療です。特に秒単位で病態が変化する重症外傷患者の初療対応においては、一つ一つの判断・決断(Decision Making)が患者の生命予後を大きく左右することを痛感しました。厳しい領域ですが同時に非常にやりがいがあり、自分もそこで勝負していきたいという思いから、外科的な知識・技術を集中的に会得するために外科のサブスペシャルティ研修に進むことに決めました。また手術を通じて人体の解剖への理解を深めることは、救急診療で行う様々な手技のレベル上達は勿論のこと、外傷・内科的疾患を問わず、体内で何が起こっているのか(病態理解)を考える上でも有利に働くと思ったのも外科研修を選んだ理由の一つです。

診療の流れを深く理解できた研修(武田さん)

2025年4月~高田市立病院の消化器外科で研修をしています。救急科に戻った後のことに備えて今のうちに、みたいなことは正直あまり考えていなくて、今は純粋に手術がうまくなりたいという一心で日々の手術に挑んでいます。患者にメスをふるうことの責任の重さは感じますが、執刀した患者さんが”ありがとう”といって帰っていくのは非常に嬉しいもので、充実した毎日を過ごしています。

”歩いてやってきた患者は歩いて退院してもらう“
これは外科研修中に指導医の先生に教えていただいた言葉です。僕はこれを聞いた時にはっとさせられました。救急での研修中は、状態の悪い患者さんが救急車でストレッチャーに乗せられて搬送されてくることがほとんどで、本人の意識がないことも珍しくありませんでした。救命が最優先で、その人が今までどんな人生を送ってきたのかわからないまま治療に臨むことも普通にありました。それが今は、外来で診察をして、本人の主訴をきき、治療方針が手術ということになれば、患者さんが「よろしくお願いします」といって予定入院してくるんです。そして手術を行って、満足して帰ってもらう。救急科以外の先生からしたら、何を当たり前のことを言っているんだと笑われてしまいそうですが、僕にとっては今までに経験のないことであり、とても新鮮な感覚を覚えたのを記憶しています。

今は外科医としての腕を磨くことが、今後自分が対応することになるであろう患者さんの命を救うことにつながると信じて頑張ります!

救急科専攻医として研修する中で熱傷診療に強い興味を持ちました。救急科でも初期対応から植皮まで一通り経験する機会はありますが、植皮の適応判断や術式の選択、その後の瘢痕拘縮への対応など、より専門的な知識と技術を深めたいと考えたことが、形成外科を選んだ大きな理由です。さらに、熱傷以外の創傷に対する局所皮弁など、救急の現場では触れる機会の少ない再建手技を学べる点にも魅力を感じました。これらの技術を習得することで、救急医として提供できる治療の幅を広げられると考え、形成外科での研修を希望しました。

不安を乗り越えて挑戦できた研修(村上さん)

日々の創処置や手技では、救急科と形成外科で重視するポイントが異なり、両方の視点を学ぶことで自分の手技や判断の幅が広がっていると感じています。 熱傷についても、救急科では初期対応や植皮が中心でしたが、形成外科で瘢痕拘縮や瘢痕治療、術後管理を学ぶことで、患者さんのADLを意識した治療の重要性を実感しています。 また、顔面骨骨折の診断は経験していたものの、実際の手術を見たのは初めてで、その精密さから治療の奥深さを強く感じました。

救命センターでは、全身管理や初期治療が中心で、迅速な判断と処置が求められる一方、形成外科では、創部の評価や治療方針が検討された上で、最終的な機能回復や整容面を重視した治療が行われていると思います。

形成外科で様々な知識や技術を学び、熱傷や感染など皮膚・軟部組織の治療を行える救急医として患者さんに貢献できればと思います。